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■BMWの新型R1200GS。この2010年型では、ニュージェネレーションのDOHC化されたフラットツイン(1本のカム軸が吸排気バルブ1本ずつを駆動する変則的なDOHCで放射状配置の4バルブ構造)を登載する。乗り始めてすぐに分かるのは、4000rpmまでの上質さ。通常使用で十分なトルクがあり、軽快に吹けつつも粘りがあって、なおかつフラットツインならではの艶やかな回転フィールも備える。従来なら、相当に走り込まなければ得られなかった心地よさが、走行1000km未満のド新車から実現されている。(詳細は月刊モーターサイクリスト誌にある)
 とはいえ、おそらくBMWが最も重視したのは高回転側だろう。6000rpmから炸裂するパワー感は従来型の比ではない。500rpm高まった8500rpmのレブリミットまで一気に吹け上がる。もっとも、4500rpmからは振動が増し始め、回転フールは艶やかとは言い難い。今までのように、10000kmも走ればもう少し改善されるのだろうか。大昔のものとなったOHV2バルブ時代、R80→100系のフラットツインのように、低回転でドルルンと柔らかく力強い鼓動が4000rpmから上では回すほどに振動が消えていきシュイーンと滑空するがごときになる、あのフィールの再現を願ってしまうのは難しい、のかな。付け加えれば、もっと昔のR50あたりは、今となっては非力このうえないが上質さや気品ではR100系の及ぶところではない。時代とともに技術が進化しパワーが増して扱いやすくなるのはいいが、今あえてバイクに乗る人々にとってのプライオリティで最初に来るのは、はたしてスペックだろうか、などと考えての試乗だった。
 ちなみに操縦性に関わりそうな仕様変更は公表されていないが、倒し込みや切り返しといったロール挙動を起こすとき、従来型よりも手応えが増したように感じた。縦置きクランク車ならではの軽妙さが薄れたことに個人的にはやや残念な気もするけれど、多くの人々にとっては「安定感が増した」という印象になるのではないか。
 試乗車はプレミアムラインで、オフロードでのセッティングも備えた電子調整式前後サスのESAやトラクションコントロール機能のASCも備える。日本仕様では下級のハイラインでもABSは標準装備で、レバー操作時だけ後輪側も効く連動ブレーキとのセットとなる。微速での取りまわしとかオフ走行でも、ペダル側のみの連動方式よりはるかに扱いやすく日常走行で困ることはまずないし、非常時には制動距離を確実に短縮してくれる。ただ、Uターンなどリヤブレーキを多用する微速域でも、やたらとABSが作動するのは少々うるさい感じがした。もっともABSや前後連動ブレーキのシステムに関しては、近いうちに変更も考えられる。BMWのスーパースポーツ車S1000RRには、現状R系などのコンチネンタル製ブレーキシステムに代わり、ボッシュ製のシステム(同じボッシュ製でもペダル側も連動するカワサキ1400GTRとはやや違う)が使われているからだ。
 ヤマハが先に発表したスーパーテネレのブレーキシステムがどこ製なのかは未確認だが、オフ走行も快適にこなす前後連動+ABSが装備されているとのこと。今年から来年あたりにかけての、モーターサイクルのブレーキシステムは大幅に進化するような気がする。いや、進化させなかればならない。同時に、バイクはハイブリッドのファミリーカーなんぞとは違うのだから、スポーツする愉しみも同居させていただかなければ困る。たった二つの車輪でそうしたコントロールをするのがクルマより技術的にずっと難しいことは十分に想像できるが、そこを何とかするのが技術力であろう。ボッシュやコンチは尊敬するし彼らの今後に期待もするが、がんばれニッポン!

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■ヤマハ発動機は2月25日、Super Tenere XT1200Zを発表した。欧州・豪州市場で2010年5月以降に発売するという。
 先の東京モーターショーにてオブジェを展示し、その存在を暗示していたモデルの実物、スーパーテネレが早々にデビューである。270度クランクの直列横置き2気筒エンジンは総排気量1199ccで、110psの最高出力はBMWの新型R1200GSを意識した数字か。
 後輪駆動はシャフト方式だ。スプリント競技と違い、ハードなバイク旅(とくに未舗装路も含めたルートの場合)では、じつはシャフト方式のほうがタフで有利な面が多いことを熟知しているゆえの選択であろう。ブレーキはレバー操作で後輪側も連動し、最新のABSやトラコンも備える。前後ホイールはチューブレスタイヤ対応のワイヤースポーク式だ。車重261kgは少し重い(GSは229kg)気がする……、どうせなら前輪21インチのバージョンも用意してほしかった……、などといったゴタクを言うのは実物が提供される前の、我々大衆の勝手なお楽しみである。実体は、乗ってみないことには分からない。さて、日本市場への投入は?
 詳細については、以下のヤマハのオフィシャルサイトにある。
http://www.yamaha-motor.co.jp/news/2010/0225/supertenere.html


■Moto2マシンを見学してきた。モリワキ・エンジニアリングが製作するMD600である。
 ロードレース世界選手権は昨年まで、MotoGP/250cc/125ccの各クラスにて開催されてきたが、今年から250ccクラスに代わって開催されるのがMoto2というカテゴリー。2ストローク車から4ストローク車へ、という時代の流れがいよいよこのカテゴリーでも現実のものとなる。車両レギュレーションは、2008年に最初のものが発表されてから紆余曲折の末、エンジンは市販車ホンダCBR600RRベースのワンメイクと決まった。エンジンの仕様詳細はまだ発表されていないが、基本的には600RR用エンジンにHRCのレース用キットを組み込んだようなものと考えてよく、回転上限を16000rpmとした専用のECUがセットされる。スロットルボディを含むパワーユニットはHRCが製作し、スイスのジオ・テクノロジー社(Geo Tecnoligy ゲオ・テクノロジー?)が全品の同一性能確保とメンテナンスを担当。ドルナが各チームに供給する。パワーユニットは基本的にブラックボックス化されており、分解や改造は禁止される。ちなみに、タイヤもダンロップのワンメイクとなる。
 こうしたレギュレーションから、単純なエンジン性能では現行WSSのワークスマシンより低いと思われる。しかしシャシーはほとんど自由。レース専用の走行機能を追求したオリジナルの製作が前提である。外装類などは市販車からの流用が禁止されている。スリックタイヤを履くこともあり、今までの2ストローク250ccマシンより速いラップタイムが実現するはずだ。
■4ストロークでエンジン製作が自由となれば、MotoGPマシンと大差ない制作費&維持費となり、250ccクラスに代わるものとしては非現実的。そこで欧州メーカーの反発などいろいろあったものの、結果的にMoto2では基本エンジンがワンメイクとなった。これは、パワーユニットに関してはイコールコンディション(吸排気などの仕様には自由度あり)となり、チームの出費も抑えられる。
 その意味は大きい。MotoGPのように巨大企業=コンプリートメーカー主導ではなく、世界各国のコンストラクターの手腕発揮の場が誕生することになるのだ。モリワキのMD600はその最右翼と思われるマシンで、すでに欧州の各チームに向け出荷が開始されている。正式なエンジンはまだ供給されていないので、HRCキット組み込み状態のものを搭載したマシンでテスト走行も実施中だ。
■世界GPなのに公道用市販車のエンジンがベース?……僕のような世代はここにやや抵抗感があるのは確かだ。しかしながら、大昔のメーカーが百花繚乱状態で色々と存在し勝手様々なマシンを作っていた状況と、今の時代には大きな開きがある。むしろMoto2の手法を取ることで本来のレースらしさ、本来のグランプリレースが蘇るのではないかと興味津々なのも事実である。趣向を凝らした斬新アイデア満載の様々なマシンが登場し競い合うはずだ。乗り手のテクニック自体が勝敗の大きなウエイトを占めるのも間違いなかろう。このクラスの展開に注目したい。


安息の待つ入口より、
なにかが起こりそうな出口への扉を。
ならばバイクはよい道具だ。

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